「独り戯(ひとりぎ)」 曹操編 曹操×劉備 |
曹操はうんざりしていた。 長引く軍議は、すでに結論など出ているはずなのに、袁紹の演説に近い物言いで、いつ果てるとも知れなかった。 しかし、曹操の立場上、迂闊に席を離れるわけにもいかず、渋々それに付き合っていた。 だがそれも限界に近付いていた。 倦んだ目で軍議に参列している面々を眺める。誰もが袁紹の長話にげんなりしているのは明らかだった。 明日、虎牢関を三方から攻めるため、軍を三手に分ける。そして、董卓を打つべく洛陽への足掛かりにする。決まったそれを、意味合いを変え、言葉を変え、袁紹は繰り返し論じている。 なぜそんなことをしているのか、と言えば、自分がこの策を披露した功労者であることを周知させたいからだ。 名族の誇りとやらも、いかんせん、過ぎればただの埃よ。 痛烈に言葉遊びで皮肉りながらも、曹操は退屈しのぎに集まっている面々を観察し続ける。 その中で、一人だけ熱心に袁紹の言葉に耳を傾けている男を発見して、物好きもいるものだ、と思った。 その男の後ろに立つ二人の忠臣は、あからさまに嫌気を顔に上らせているのが、また何とも対照的だ。 (劉玄徳だったか) いつかの黄巾の折にも顔を付き合わせたことがあった。あの時も、目覚しく働く後ろの忠臣へ目を奪われがちだったが、それを率いているこの男の器量こそいかほどか、とも思ったものだ。 一介の農民風情かとも思ったが、そう言い切るにはどこか気品があり、また擦れていない柔和な雰囲気を漂わせていた。 事実、この董卓討伐の戦前では県令の端くれでしかなかったこの男は、いつの間にか軍議の一角に席を貰い受け、参列を果たしている。 知らず知らずに曹操は劉備を見つめ続けていた。 ふと、その視線に気付いたのか、熱心に袁紹の言葉に頷いていたらしい劉備が、曹操を見た。 劉備の微かな笑みを刷いた口元が、曹操の倦んだ心と、戦に逸る体を煽った。 その煽りに身を任せるように、曹操は大胆にも大きな笑みを作ってみせた。それだけでなく、袁紹をちらっと見やってから、厭きた、と口だけで形作ってみせた。 すると、劉備は少しだけ眉を寄せた後、私もです、と同じように唇の動きだけで返事を寄越した。 くっと、曹操は押し殺した笑いを立て、おもむろに立ち上がった。 その曹操の動きに、滑らかに動いていた袁紹の舌が止まった。 「曹操、どこへ行く」 自慢の 「明日の出立も早い。そろそろ準備に取り掛からねば、と思ってな」 「まだ私の話が途中だが」 「すまないな。だが、儂の兵が仕度に手間取り、お主の策の妨げになれば一大事だ。早めに用意するのは用心でもある」 もちろん、この長ったらしい軍議から抜けるための方便だ。しかし、正論でもあるし、無理のないいい訳だろう。 案の定、同じようにこの席から外れたがっていた他の面子からも賛同の声が上がる。 そんな声を聞けば袁紹とてこれ以上は続けられなくなる。ようやく、軍議の終了が告げられた。 幕舎から出ると、曹操は首を回した。その脇を、参列していた人間がさり気無く労っていく。 皆、軍議が終わるのを今か今かと待っていたのだ。曹操が切り上げるためにああ言ったことは、良く理解してくれたようだ。 それらにおざなりの相手をして、曹操は目的の人物が通りかかるのを待った。 「劉備」 そして、その人物が現れると、曹操は呼びかけた。劉備は幕舎で見せた笑みよりもはっきりとした笑みで、曹操へ拱手した。 「曹操殿」 響く声音は柔らかく、眼差しは穏やかだった。とても、戦場に立つ人間の面持ちではなかったが、そうでないことは先の戦の折に目にしている。 「少し、付き合え」 手で、杯を煽る仕草をして、劉備を誘う。すると劉備は戸惑った顔を浮かべた。 「しかし、明日は早く、兵の出立の準備をせねばなりませぬが。それに曹操殿も同じでは?」 「あれは方便に決まっている。すでに準備はさせておる」 曹操の後ろに控えていた夏侯惇は、軍議で策が決まったときに通達を言い渡すため、すでに退室させていた。 「お主とて、後ろに控える臣下がやってくれるであろう?」 言外に、そのぐらい出来て当たり前だろう、という どうしても、曹操は劉備と言う男と酒を酌み交わしたかった。 「兄者、俺たちに任せておけば大丈夫だ」 予想通り、血気盛んそうないかつい男が乗ってくる。 「翼徳」 振り返り、その男の名前を呼ぶ劉備は、まだ躊躇っていた。 「軍の心配はいりませぬゆえ、兄者。しかし、お早くお戻りくだされ」 美しい顎鬚を蓄えた男が、そう言ったので、劉備の決心も固まったようだ。 「雲長が言うならば。少しの間だが頼んだぞ」 曹操へ体の向きを戻した劉備は頷いた。 「お付き合いさせていただきます」 相変わらずの柔和な笑顔に、曹操はさらに興味を惹かれたのだった。 誰の気兼ねなく劉備と語りたかった曹操は、酒の入った瓶と、二つの杯だけを携えて、自軍より少し離れた場所へ分け入った。 それからしばらく、酒を舐めるだけの時が過ぎた。 折りしも季節は春風吹く気候で、外で酒を嗜むには程よかった。 「劉備よ、お主はあれほど熱心に袁紹めの話を聞いていたが、その実は倦んでおったのだろう? 何ゆえにあのような顔をしていた」 酒の戯れるままに聞いてみた。 しばらく、劉備は考えをまとめるように黙っていたが、小首を傾げた。 「そうですね。少なくとも袁紹殿の弁は、 「だが、あやつの弁は実がないからの。退屈だ。そう思ったからこそ、お主も儂にあのようなことを示したのだろう」 手厳しい曹操の評だったが、酔いが回ったのか、微かに赤みを帯びた劉備の頬が緩まった。 「ええ、まあ……。実は曹操殿がああ言い出してくださらなければ、私は気分が悪いことにして退席する腹積もりがありました」 「ほお、そうか。その手もあったな」 楽しくなって笑い出す曹操へ釣られるように、劉備も笑った。 「中々、食えぬ男だな、劉備」 「いえ、曹操殿の手際の良さにはいつも驚かされます。先も、すでに準備を整えられている、と聞き、瞠目いたしました」 微笑む劉備は邪気が無く、素直な感想を漏らしていることが伝わり、曹操は面映ゆくなる。それを誤魔化すように、ことさら煽るような口調で告げた。 「血が逸るな」 「はい。やはり戦の前だからでしょう。私も弱輩ながらも剣を握る者。逸ります」 それでも、やはり返される声音は柔らかで、劉備の腰に佩いている剣や、擦り切れた鎧が無ければ、戦人とは想像しにくかった。 そうして気分も解れ、用意した酒が底を着いた頃、二人は別れた。やはりここは戦場であるし、明朝は出立せねばならない身だ。長々と酒を楽しむわけにはいかなかった。 「では」 と、拱手して歩いていく劉備の背を、消えるまで見送った。その後、ふと足元を見やれば、劉備の物と思しき飾り珠が落ちていた。 剣の柄に付いていたそれであろう。一介の将が持つには高貴な一振りだった。だから曹操は良く覚えていた。 仕様のない。 曹操は苦笑して、飾り珠を拾い上げて劉備の後を追いかけた。まだそう遠くへは行っていないだろう。明日は異なる配置になる。返すならば今しかあるまい。 急いで劉備を追った。だが、劉備が向かったと思われた方角へ駆けるのだが、姿が見えてこない。 見晴らしは悪くない。ただ、脇に木立が立ち並んでいるので、そちらへ入れば別だが、わざわざそこを通る道理がない。 「……っん」 不意に、曹操の耳に呻き声らしきものが忍び寄った。足を止めて耳を それらを縫うようにまた、地を這う影のように曹操へ声が伸びたきた。 「……はぁっ」 その呻きとも付かない悦の籠もった声の主に、曹操は首を捻った。 (劉備か……?) 声は木立の中から聞こえた。そして、その声の意味するものを悟った曹操は、足音を忍ばせて、声の発せられる居所へ歩んでいった。 予想通り、劉備が木の根元に座り込んでいた。こちらからは陰になり見えないが、荒い息遣いと濡れた声を聞けば何をしているかなど、容易く察せた。 (ふむ、こやつも一人の男であったか) 柔和な顔立ちの下に隠された強かさを、先ほどまでの会話で感じ取っていたにも関わらず、こういう場面に立ち会うまで、どこかで 戦を前にして滾った血でも慰めているのだろうか。 行為に耽る劉備は人間臭く、曹操は笑みをこぼしていた。 しばし、劉備の奏でる愉悦の 自分でもおかしな気分だった。 同じ性を持つ相手の、しかも自分を慰める行為を覗き見、聞いているのがどうして楽しいのか。不思議ではあったが、心を揺さ振られるのだから仕方がない。 享楽的な部分も持つ曹操は、すぐさまにそれを受け入れる。そして、見ているだけでは飽き足らなくなった。 「劉備」 細く震える肩へ呼び掛けた。その肩が、びくんっと震えた。背を幹に預けながらも、劉備がこちらを向いた。 「曹操、殿……?」 薄暗い木立の中へ、僅かに届く月の明かりが、濡れた劉備の唇を妖しく照らしている。そして上目遣いでこちらを見やる劉備の瞳を煌かせる。 ぞくっと、背筋を痺れさせた官能の響きに、曹操は薄っすらと笑みを浮かべた。 「気分でも悪くなったのか、劉備?」 しゃがみ込んでいる劉備へ、曹操は意地悪く尋ねてみる。何をしているか、など一目瞭然であるにも関わらずに。 「あの、いえ……」 劉備の耳が赤くなったのが、月明かりでも見て取れた。途端に、劉備は緩めていた衣を整えようとし始めた。 曹操は劉備の前へ屈み、その手を押しとどめて、耳元へ囁く。 「やはり気分が悪いようだな。ここに悪い『氣』が溜まっているようだ」 言いながら、曹操は劉備の露わにされている中心を握り込んだ。 「ぁん……っ」 跳ね上がった声は濡れていた。握り込んだ途端に、また新たに雫がこぼれたようで、曹操の手を濡らした。 「お主とて、明日の討伐軍の一角を担うもの。それが病んでいるならば治さねばな」 濡れた手をさらに蠢かすと、劉備の唇が戦慄いた。 「っふぁ……そ、操殿っ……やめっ」 辛そうに眉をしかめるが、劉備の声は愉悦が絡んでいて、力は無い。縋り付くように、劉備の指が曹操の服の裾を握った。 解放を望むかのように、劉備の両眼が曹操を見つめた。その無言の願いを曹操は聞き届けた。 「ん、んっ……ぅあっ」 曹操の服を強く引きながら、劉備は鋭い声を上げて達した。曹操は指を濡らす『氣』を感じ、唇の端を吊り上げた。 「少しは楽になったか?」 喜悦を滲ませて聞けば、吐精の余韻に酔った潤んだ瞳で自分を見る劉備がいて、曹操はまた背筋が痺れる。 善い顔をする。 「どうして、ここに?」 やや掠れた声で尋ねた劉備へ、曹操は握り締めたままだった飾り珠の存在を思い出す。その珠を劉備へ見せた。 「これを落としたであろう?」 しかし劉備へすぐに返さずに、曹操は自分の口へ入れてしまう。 「返すから、口を開け」 訝しみながらも、劉備は素直に唇を開いた。その唇へ自分のそれを重ね、そのまま珠を移しながら口内を弄んだ。 「ふ、ぅん……」 曹操に翻弄されながら、劉備は呻いた。存分に口内を愉しんでから、曹操は唇を離した。赤みを増した劉備の唇から、珠が転がり落ちる。 「どうした、要らぬのか? それとも、まだ悪い血が滞っているのか?」 揶揄するように聞けば、劉備はまた耳を赤くしてしまう。その耳へ唇を寄せて誘う。 「悪い血や淀んだ氣は治さねばな。明日の戦に響くぞ」 「……響きますか?」 小さな声で返事がある。誘いに乗ってきた劉備の顔を覗き込んだ。 「血を、悪い血を流していただけますか? 曹操殿」 柔和な笑みがそこにあり、曹操は目を眇めた。 (こやつ、このような顔で受けおるか……。やはり食えぬな) 楽しく思うのと同時に、いい知れぬざわめきを感じ、曹操は首筋の後ろがうすら寒くなるのを覚える。 だが、その寒さよりも体を巡る熱い血のざわめきを優先させたかった。 劉備を立たせ、幹に向かせる。鎧だけ取り去って、手を差し入れやすくなった服の隙間から肌を探った。 胸の小さなしこりを撫でれば、緩やかに息が上がっていく。赤くなっている耳朶を甘噛みして、首筋に唇を落とした。 「は、んっ……」 密着させた体の中で、劉備の熱が上がっていく様が感じ取れる。形を露わにしてきた胸を強く弄れば、小さく身を震わした。 時折、枝を揺らす春風が、劉備の首筋から立ち上る薫りを曹操の奥へ運ぶ。 その度に曹操の、戦を待ち望み、逸る血を煽り立て、さらに劉備へのめり込ませる。 手を下肢へ滑らして、血を含み始めた劉備の中心を煽っていく。 「ぅくっ……ぁ、はっ」 春を運ぶ甘い香りほどの吐息が、劉備の口元から曹操の耳元へ運ばれる。曹操も昂ぶり始めた血を劉備へ押し付ける。劉備はそれにか細い息を吐き出して応えた。 「劉備」 名前を呼ぶが、背後から抱き合う今の形では、劉備の顔を捉えることは出来ない。その体を捻り、幹に背を預ける体勢に変えた。 「曹操殿」 穏やかに曹操を呼ぶ劉備の声は、こんなときだと言うのに邪気がなく、曹操は虚を衝かれて眉を跳ね上げた。 そんな自分に舌打ちをして、劉備の中心をことさら強めに扱いた。 「ぁ、やぁ。曹、操殿っ」 びくん、と曹操の眼前で咽を反らす劉備の姿に、また血を煽られる。 (劉備、お主が欲しい……) 無性に、曹操の中に込み上げた何かがあった。臣下としても、情人としても、何でもいい。この男が欲しい、と。 だが、同時に奥底から叫ぶものがある。 無理だ、それはきっと無理な願いであろう。 この男とは並び立つものではある。だがそれは隣を歩くものではなく、常に背中を合わせて違う方向を見ながら歩む存在だ。 そんな、確信めいた思いが、奥底から木霊のように叫んでいた。 それでも、その時が来るまで、手元へ置いておきたい。傍に……! 「劉備、お主が……」 それを吐露しようとした。だが、それよりも早く劉備の口が開いた。 「曹操殿、貴方の淀みも、流してください」 強い光を放ちながら、劉備の双眸が曹操を捉えた。まるで、今曹操が考えていたことは叶わぬ望みなのだから。淀んだ血が生み出した、ただの愚劣な望みだ、と言わんばかりだった。 ゆっくりと、息を吸い込んだ。それから、唇の端を持ち上げて、大胆に笑った。 「良かろう」 劉備の双丘へ指を這わせる。劉備の顔がしかめられたのは一瞬で、曹操へ全てを任せるように体の力を抜いた。 「……っ……ぅん」 そして、劉備の口から落ちたそれが艶やかになったのも、すぐだった。柔らかになったそこへ、曹操は自分の血を宛がった。 「曹操殿……」 微笑んだ劉備の笑顔は無邪気で、曹操は幾ばくかの口惜しさを感じつつも、その血を劉備へ流し込んだ。 「んんっ……あぁっ」 首に絡げられた劉備の腕の重さを心地良く受け止めながら、曹操は目の前の男の名を口にする。 「劉備っ」 深い劉備の内は、曹操の望みを受け止めてもなお、溢れることはなさそうだった。 ※ 身支度を整える劉備を眺めながら、曹操は疑問をぶつけた。 「どうして、儂に大人しく抱かれた」 僅かの間、劉備は沈黙したが、口元に刷かれた笑みは消えなかった。その笑みの形のまま、劉備は答えた。 「それは私が聞きたいことです。このような私を貴方のような方が好んで抱くなどと。血が、滾っておいででしたか?」 その返し言葉に、曹操はふっと笑った。 「そう、だな。そうかも知れぬし、そうでないかも知れぬ。お主はどうなのだ」 「私も、戦を前にしていささか体が昂ぶっていたかも知れません。それを鎮めていただき、感謝しております」 くっと、曹操は笑い出してしまう。 「やはり、おかしな男だ、お主は。自分を犯した男を恨みこそせずに、感謝するなど、聞いたこともない」 だが、劉備は澄ました顔で相も変わらず笑っている。 「私からも望んだことですので」 その顔を見て、また曹操の中から込み上げるものがあった。 「劉備、儂の下へ来ぬか」 今度は、口にした。 しかし、劉備は笑みを消して、少しだけ眉を寄せてしまう。消えてしまった笑みに、曹操は少しだけ首筋を寒くした。 「お言葉だけ、承ります」 答えは、半ば予想されたものではあったが、曹操は落胆してしまう。それでも、理由を問いただした。 「私は今、公孫サン殿の下に付いておりますし、公孫サン殿は兄弟子であり恩義もあります。まだそれを返していもせずに、離れるわけには参りませんので」 また微笑みを取り戻した劉備は、それでも頑とした態度で、それ以上譲る気がないのは明らかだった。 「そうか」 曹操もそれ以上は食い下がらなかった。 どこかで、奥底から響いた声が正しいような気がしていたからかもしれない。 すっかりと、身支度を整えた劉備の立ち姿は、やはりどこか気品があり、曹操はしげしげと眺めてしまう。 その視線を避けるように、劉備は屈み込み、何かを拾い上げた。それは、劉備へ返したはずの珠だった。 劉備の口からこぼれたまま、地面へと落ちたままだったのだ。その珠を丁寧に服の裾で拭った劉備は、何を思ったのか曹操へ笑い掛けた。 「曹操殿」 なぜか、妙に艶を含んだ呼び声のような気がして、鎮まったはずの曹操の血が騒ぎ立てた。 「口を開けていただいても?」 言われるままに、曹操は唇を薄く開いた。そこへ、劉備が珠を口に含み、口移しで渡してきた。 それだけ済むと、劉備の唇は離れてしまう。 「お預けいたします。また、再会の折にお返し下さい」 今度こそ、虚を衝かれて呆けている曹操へ劉備は艶やかに笑って、踵を返して去ってしまった。 我に返り、曹操はその味のしない珠を舌で転がした。 「甘いな」 一人で呟いた。 「食えぬ男だ」 また、曹操は首筋が寒くなるが、気分は悪くなかった。 春の風が、去った男の薫りを運び、曹操の下へと届けてきた。 了 あとがき 初書き曹操×劉備です。いかがだったでしょうか? そして、お気付きの方もいるかもしれませんが、関羽編→白諸葛亮編→曹操編ときて、徐々に劉備が黒くなっています。この曹操編はすっかり誘い受けですからね。 実はこの独り戯には裏テーマがありまして、同じシチュエーションでどれだけ表現を変えられるか、と言う自分への課題の他、劉備をいかに黒くさせるか、と言うテーマがありました(笑)。 基本的には私の中では劉備さんは天然君主ですが、黒い劉備さんも捨てがたいのです。 そして、種明かしです。関羽編と諸葛亮編、そして曹操編の劉備さん、実は全て確信犯です。三人に繋がりはないのですが(それぞれとらぶらぶです)、全て劉備さんの色香に惑わされてます。 と、言うわけで、独り戯番外編、劉備×曹操、黒い劉備さん大活躍。お嫌でなければ劉備編へ。さらに、この曹操編に続きが……。曹操様が当て馬になって、劉備が誘い受けで黒くても許せるわ! さらに浮気しても劉備さんなら仕方ないわ、というお心の広い方、関羽編2へどうぞ。 |
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