「大道之交 4」
〜 劉備、曹操に招かれて許都に赴くも 〜
曹操×劉備


 どうしてこんなことになったんだ、と劉備は杯を傾けながらため息ごと、酒を咽へ流し込んだ。
 二階の窓から眼下を望めば、華やかに着飾った男や女が往来している。
 今頃なら、関羽や簡雍、孫乾と、もしかしたら張飛も交えて馬鹿騒ぎに興じていたはずだった。なのに途中、簡雍と孫乾は遠慮して先に屋敷へ戻ってしまうし、関羽はもちろん供として付いてきたが、二人で飲みたい、という曹操の強い意向に押し切られ、階下で待機していた。関羽は最後まで不満そうにしていたが、それは郭嘉も同様で、曹操と劉備、それぞれに宥められて引き下がっていった。
 郭嘉勧めの遊郭、というだけあって、出てくる料理や酒は上物で、何より女たちが賢く美しい。曹操と劉備の雰囲気から高貴な身分だと察してはいるだろうが、詮索をすることなく、酌や鈴の音が転がるような笑い声を立てて場を明るくさせている。
 おかげで渋々付き合わされる羽目になった劉備も、次第に機嫌を取り戻しつつあった。
 それでも、曹操と二人で飲んでいる、という事実は変わらず、劉備の心根は定まらず、ゆらゆらと揺れる水面に浮かぶ葉のようであった。
 話題はもっぱら劉備の過去のことに及び、どのように筵を織り、また商売をし、暮らしていたか、ということに終始していた。劉備にとっては苦しいことが多かった時代の話であるが、曹操が興味深げに相槌を打つものだから、結局あれこれと話してしまい、一度は断った沓の製作も引き受ける約束をしてしまった。
「主上、ちょっとよろしいですか」
 不意に、戸の向こうから郭嘉の声がした。重要なことでも起きたのだろうか。曹操は不審そうにしながら、席を外す、と言って去っていった。
 やれやれ、と脱力する。やはり意識しないところで緊張していたようだ。ましてや一日中働いたあと、美味しい料理や酒を口にしたのだ。このまま横になれればどれだけ幸せか。
 そう思ったのが良くなかったのか、寸刻ほど劉備はうつらうつらしていたようだ。
 気が付くと酌をしていた女たちの姿はなく、新しい酒瓶が数本用意されていた。まだ、曹操の帰ってくる様子はない。
 眠気の残る体で、緩慢な動作で新しい酒を杯へ注ぐ。
 口を付ければ酒は、咽を焼けるような熱さで滑り落ちる。苦味が強い酒である。しかしそれを上回るほどの芳香があり、劉備は少し眠気が取れる。
 また、杯に酒を注いで呷る。そうして何杯目かの杯を傾けたころ、曹操が戻ってきた。珍しくもぶつぶつと何かを呟いている。
「あんな下らぬ用でだらだらと。前置きが長すぎるのだ。郭嘉め、あのような者を寄越すとは女遊びが過ぎて緩く……なんだ、お主一人で飲んでおったのか。女たちはどうした?」
「さあ?」
 曹操が知らないのなら、劉備はなお分からない。ひとまず劉備は曹操の杯へ酌をした。
「中々旨い酒です」
「ほお、そうか」
 口許を緩めた曹操は劉備の前に座り直して、杯に口を付ける。
「――っ」
 途端、なぜか曹操は酒を吐き出して、劉備が口に運ぼうとしていた杯を手で払った。杯はまだ残っていた酒をそのままに、床に転がり、辺りを汚した。
「っな……?」
 突然のことに劉備は絶句し、曹操を見やった。しかしそれ以上に曹操は劉備を凝視して、柳眉を逆立てていた。
「お主、儂にこんなものを飲ませてどうするつもりだった。この間の意趣返しだとしても、趣味が悪い」
「何のことです?」
 唐突に気色ばむ曹操に、劉備は戸惑う。言っている意味も分からない。
「儂が気付かぬうちに飲んでいたら、どうするつもりだった。生憎と、こういった類には免疫がついておるからの。思い通りにはいかぬぞ」
「だ、だから何のことですか。私はただ……っ」
 ぐらり、と視界が揺れた。え? と違和感を覚えて頭を左右に振るが、揺れる視界はなお酷くなる。座っていたが、それすらも覚束なくなり、前のめりに崩れる。
「劉備っ?」
 何かに腹を立てていた曹操も、劉備の急変に驚いたらしく腕を伸ばす。抱き起こす曹操の腕が、ひどく熱い。その熱さにぶるっと身震いする。
「まさか、お主もこの酒を飲んで……っそうか。お主にこんなものが用意できるはずがない。ということは……」
 何かを察したらしい曹操の声を遠くに聞きながら、劉備は自身の変調と必死で戦っていた。
 全身が熱を発していた。視界から始まった異変は今や体全体に行き渡り、熱いはずなのに寒さに震えるように四肢ががくがくした。呼吸をするにも一苦労で、吐き出す息、吸い込む息が唇をくすぐるたびに、ぴくり、と震えた。
「ぁ……ぁ……?」
 勝手に声が漏れて、上ずる。縋り付く指先に感じる曹操の体温が火傷しそうなほど熱く感じるくせに、心地良く離したくないものに思える。
 苦しい。
 眉をひそめて身内で暴れる熱に耐えようとする。じわり、と眦に涙が盛り上がり、意志に反して頬を伝う。それを拭った曹操の流麗な指先の感触にぞくり、と背筋が痺れた。
「すまん、劉備。しばし耐えろ」
 どうやら頭の中まで熱に侵されてきたらしく、曹操がなぜ謝っているのかも、耐えろ、といった意味も分からなかった。
 ただ、縋り付いていた腕が離れ、遠くに行ってしまった体温に焦がれるような思いを抱く。
 水を、と曹操が誰かに頼んでいる声がわんわんと聞こえた。それを持ってきたら儂がいい、というまで決して誰も近付けるな、と言い渡しているのが、微かに聞き取れる。
 次第に熱は身体の一箇所を責め立てて、異常を露わにさせる。
 ここまで来ると、働かない頭ながらも徐々に状況を理解し始めてきた。それでも、信じるには程遠い事実で、劉備は荒い息を吐きながらもそれを拒んでいた。
 熱を吐き出したい、と思うのだが、震える四肢は鉛でもつけられたかのように重く、うつ伏したまま小さくもがくので精一杯だ。その間にも熱は際限なく上がり続け、劉備にとって永劫ともつかない時が流れた。
「飲め」
 不意に抱きかかえられて、唇に器が押し当てられた。冷えた水が入っていた器は、劉備の咽へ流し込まれて、染み渡る。
 僅かに熱が引いたような気がして、揺れていた視界が少し治まり、曹操の顔が映った。
「そ、そぅどの?」
 舌足らずな言葉は自分のものとも思えなかったが、小さく曹操が頷いた。
「いいか、良く聞け。お主は催淫薬を飲まされたのだ」
(催淫薬……媚薬のことか?)
 思考が定まらないままだと、言葉の意味を解すのにも時間がかかる。
「放っておいても自然に治まるが、その間は苦痛の上、抜け切るには相当な時間が必要になる。一番手っ取り早いのは精を根まで吐き出してしまうことだ。ただし、気付いておるかもしれぬが、自分では出来ぬ。手足が動かぬであろう? 麻痺薬も混合されておる厄介な代物だ。つまり、他人の手を借りねばならぬ」
 ゆっくりと、説き伏せるように曹操は言う。
「女たちに頼んでもよいが、一つ問題がある。薄々と儂とお主の身分に気付いておるようなのだ。そうすると幾ら口の堅い遊女といえども悪い噂が広まるやも知れぬ。今ならまだただの密談ですませられる。あとは、下で待っておる関羽に頼む、という手もあるが……」
 ようやく、劉備ははっきりと状況を理解した。その上で、関羽に頼む事柄の意味に気付き、身じろいだ。薬で自由が利かないのでその程度だったが、普通なら飛び上がって叫んでいたところだ。
「やはり、駄目であろう」
 もがいた劉備の様子を見て、曹操も胸の内を察してくれたらしい。
 義兄がこんな目に合わされたことを知れば、鬼神と成り果てるであろう義弟の面容と、いくら兄弟、家族同然の存在といえども、精の処理を頼むことなど出来るはずもない。
「……儂で良いか」
 恐らく、酒に薬を混ぜたのは曹操ではないだろう。我が身が狙われたもの、と勘違いし、憤慨した曹操の様は演技ではない。となれば、目的は分からないが状況から考えれば、あの男、郭嘉であろう。
 何より、沈痛そうに見下ろしている曹操は、劉備の身を心から案じ、このような事態を招いた不徳を悔やんでいた。
「曹操、どのにとっては……っ好都、合で、しょう?」
 いささかそれを意外に思いつつも、劉備は聞き返す。本気か冗談か未だに理解できないが、曹操は劉備を抱きたい、と口にしていた。ならばこの状況は鳶が油揚げを落としたようなものだろう。
「そのようなことはない。お主をこのような形で求めさせても意味が……。いや、とにかく儂の臣が仕出かした不始末だ。責任を取らせろ」
 揺れそうになる視界を何とか定め、曹操の真意を探ろうとじっと見上げる。するとなぜか曹操は苦笑して、掌で劉備の瞼を覆ってしまう。
「構わぬなら、目を瞑っておれ。好きな女でも美しい女でも想像しておけば、少しは気が紛れる」
 曖昧に頷く。逆らう気力を失いつつあったのも原因だが、掌に覆われる寸前に見えた曹操の、やはり辛そうな相貌が目の奥でちらついたせいだ。
(どうして、そんな顔をする)
 しかし意味を考えている余裕は、本格的になくなった。咽を潤した水が体内ですっかり吸収されたのだろう。思い出したように熱がぶり返してきた。
「ん……っふ」
 火に炙られているような心地さえする。
 背に何か敷かれ、ふわり、と立ち上った香に嗅ぎ覚えがあった。曹操の着ていた上衣だろうか。
 目を瞑ったままの劉備の耳に、帯が解かれる音が届く。窮屈だった下穿きから解放された下肢は、それだけで劉備に極みをもたらしかけ、ふるっと身が震えた。
「あぁっ……や、んん……っ〜〜」
 本当の極みはすぐに来た。曹操の指に握られた、と思った途端に下肢が弾けたのだ。あまりの早さに、今のは本当に極みだったのか茫然とするほどだ。
 しかし劉備の精を確かに受け止めたらしい掌は、ぐちゅり、と淫猥な音を立てて、再び下肢を握り込んできた。
「やっ……ひ、ぅ……ぁんんー」
 どくん、とありえない早さで硬さを増した下肢に、劉備は濡れた声を上げる。あられもない女のような喘ぎに声を殺そうとするが、薬のせいなのか自制心は思った以上に役立たずで、僅かに唇を震わせるだけだ。
 二度目の吐精は少し時間がかかったが、普段から考えれば信じられない早さであった。
 短時間に二度も強烈に精を吐き出した劉備は、荒い息をつくだけで精一杯で、上下する胸に布がこすれる感覚ですら悦になる。勝手に硬くしこっている胸の突起がじんじんと痺れていた。
 するり、と衣の上から曹操の指がそこを撫でた。
「ぅあ……っ」
 声が跳ねた。布地の上から掠めるように指の腹がしこりを撫でさすると、びくびくと身体が弾んだ。
 再び曹操の手の中で勢いを取り戻す下肢に、忘れかけていた羞恥が込み上げる。いくら薬のせいとはいえ、男の、それも曹操の手で反応している己がいることに信じられなかった。
「ぃ、や……だ。ぁ、あ……」
 指が根元から先端へと扱く。先端を強くこねられれば、思い出した羞恥も忘れて嬌声を上げる。嫌だ、と緩くしか動かない首を小さく左右に振るが、虚しい抵抗を見せただけだ。
 三度目の吐精は胸のしこりを摘み上げられたときに襲ってきた。
 涙が滲む。きつく瞑った眦が湿っていた。
 三度も精を吐き出したのに、身体の熱は一向に治まる様子はない。それどころか空腹を思い出した身体のように、欲を求めて飢え始めているかのようだ。
 袷(着物)の隙間から手が差し込まれ、素肌を弄(まさぐ)られる。心地良い感触に身を委ね、劉備はしばらく飢えを忘れる。
 前ごろもが肌蹴て外気に晒された。唇が肌に乗ったのが分かる。つっと滑る唇の柔らかさにひくひくと身体が反応を示す。胸の硬いしこりを吸われ、甘やかな声が室内に広がった。
 触れる者がいなくなった下肢へじん、とした疼きが溜まっていく。それだけではない。もっと下の、表面ではなく、身体の芯に近い奥底まで疼きは沈み、劉備の声を艶やかにさせた。
 唾液で胸を濡らした唇は、脇、下腹を辿って、また勃(た)ち上がっていた下肢を咥えた。
「は……ぁっ、ぁ、ぅん、ん」
 瞑っていたはずの目を見開いて、劉備は自分の下肢へと視線を走らせる。そこには紛れもなく曹操が劉備の欲を口腔へ導いていて、あの形の良い唇で奉仕していた。
「やめ、て……く、だ……そ、そ殿っ……や、んっ」
「馬鹿者、目を瞑っていろ、と言っただろう」
 唇を濡れさせながら、曹操はちらり、と劉備を上目で睨む。途端、どくんっと下肢が反応してしまったので、かっと、頬が熱くなる。曹操はちらり、と手元へ視線を落とし、舌を伸ばした。
「今のは、儂のせいで反応したのか?」
 舐めながらなので不明瞭ではあったが、意味は十分に通じた。
「違い、ますっ……く、ぅ」
 否定する劉備に答えず、曹操は舌と指で交互に愛撫していた下肢から指でぬめりを拭い、狭い双丘の隙間へと運んだ。
 きつく窄まっている蕾を指で撫でられ、劉備は慌てる。
「なに?」
「後ろもあったほうが、早く精が出せる」
 強張った身体のせいで、劉備が拒みそうなのを悟ったのだろう。曹操は説明するが、納得できるものではない。
「必要、ありま、せ……ひぅ」
 深々と咥えられて抗議の声を途切れさす。
 舌と上顎に隙間なく締め上げられ、一瞬ばかり頂きが見えた。腰が勝手に浮き上がり、隙を衝かれて指が中へと潜り込んだ。
「は、ぁ、ぁ……ぅ……」
 薬のせいで力が入りにくかったのが良かったのか、噂に聞くほど痛みはない。ただ、普通は何かを受け入れる箇所ではないだけに、違和感は強く、緊張で全身が硬くなる。
 すかさず舌が、そそり立つ下肢を舐め上げて、弛緩させた。
 緩急を心得ている卒のない曹操の先導に、劉備は絡げ取られる。仮に薬の効能がなかったとしても、私室で襲われたときに抵抗し切れなかったのなら……。
(何を……)
 ひり付く脳髄の片隅を過ぎった、馬鹿馬鹿しい考えを振り払う。
 狭い体内を掻き分ける指は、精を促すためだけと割り切っているようで、焦らすような真似はせず、すぐに男にひそむという愉悦を突いてきた。
「〜っあ、はっ……? ぅん、く、ぃっ」
 鋭く声が上がった。
 すでに炙り燃やされかけていた理性ではあったが、今の衝撃で消し炭となる。暴れだす腰を曹操が押さえ込み、強制的に悦楽へと叩き込まれる。
 強烈過ぎる悦に、あっという間に劉備は精を吐き出してしまう。弾けた精は曹操の唇を汚して顎に滴り落ちていく。
 肩で息をする劉備は、あまりにも淫靡な光景に身震いした。曹操は汚れた顎や唇を手で乱雑に拭うと、甲に付いた欲の残滓を舌で舐め取った。
「――はぁ、はっ、ん……」
 やめてくれ、と訴えたいが言葉を発する気力も少なくなってきた。
 何より信じがたいことに、指を埋められている身体の奥底が熱く焦げ付くような疼きを発していた。乾き切った唇が戦慄く。戦慄いたまま、男を求める言葉を口にしようと震える。
 がちっと歯がぶつかり合う音がするほど激しく奥歯を噛み締めた。力の入らない身体では一瞬だけだったが、突き上げた欲求には耐えられた。
 指を埋められたまま、曹操に唇を塞がれた。割り開いた唇の隙間から水が流し込まれる。どうやら劉備が乾いていたことに気付いたための配慮らしい。
「もっと、欲しいか」
 黙って頷いた。
 再び唇が覆う。柔らかな感触と熱と、人肌になりかけているが清涼な水とで、劉備は欲以外の部分が満たされていくのを感じていた。
 気付けば水もなくなったのに唇は離れず、舌を絡め合わせている。互いの息遣いは荒く、唾液は劉備の顎を汚していく。
「あまり、儂を煽るな。歯止めがきかん」
 離れた唇が小さく歪んだ。
 淡々と蠢(うごめ)いていた指がゆるゆると内側を広げ、愉悦を刺激してくる。途端、口付けに蕩けていた劉備の肢体はひくり、と身震いを始める。
 指が増やされて、広げられる感覚が強まるが痛みも違和感も覚えなくなったそこからの刺激に、劉備は濡れた声を漏らすだけだ。それどころか、奥の疼きは耐え難いものになり、ふるっと首を横へ振った。
 指だけでは足りない、と思ってしまってからは欲求は強まる一方で、力の入らない腕を精一杯に伸ばして、曹操の衿を引く。
「そぅ、そぉど、の……」
 舌が回らないまま、涙で滲む視界に曹操を捉えて、言外の意味を汲み取って欲しい、と訴えかけた。
「足りぬか、劉備?」
 頷いた。羞恥も自尊もない。欲する身体に従順となった劉備は、曹操に縋り付く。欲しい、と曹操に哀願を含めて眼差しを送る。
「そのような目で人を見るな」
 また、曹操に瞼を下ろされる。辛そうな顔が瞼の裏に蘇った。
「すまぬが、儂が手伝うのは欲の処理だけだ。繋がることは違うであろう?」
 断る曹操が理解できなかった。劉備は、嫌だ、と衿を掴む指に力を込める。分かったのは、飢える奥底に与えられる熱は決して得られない、という事実だけだ。
「曹操、殿っ、どう、してっ」
 指で思い切り奥を突き上げられても充足感に届かない。艶声は不満げに掠れていく。
「薬の力で欲しても意味がないのだ、劉備。解れ」
 強く抱き寄せられて、腕の熱に吐息が溢れ、鼻をくすぐった香の匂いがぞくり、と劉備の背筋を甘く侵す。肌に曹操の欲の硬さがこすれていった。曹操も欲しいはずだ、と確信するが、自身を宛がえてくる気配は全くない。
「ぅう……ぁ、ん、んぁっ、ぁっ……」
 体内をでたらめに掻き混ぜる指と、欲を吐き出しすぎてドロドロになった下肢を勢いよく扱かれて、劉備はもう何度目とも知れない精をこぼす。
 意識が混濁し始めた。
「も……っ、ぁ……」
 ぶるっと、全身が震えて吐精感が競り上がった。
 曹操の手に身を任せ、劉備は意識を失う直前、最後の精を吐き出した。



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