「言絡繰り・1」 諸葛亮、劉備を主と認めるも 4 諸葛亮×劉備 |
支えを失った劉備は、ぐったりとした様子で座り込んだ。 「お前、何を考えている」 吐精の息も整わないうちに、劉備が声を荒げて問い質してくる。自分の意思でない、他の人間によって与えられた悦なので勝手が違うのだろう。無理に息を殺していたせいで頬が赤く、目の端には涙が浮かんでいる。荒い息がこぼれている唇は小さく震えていた。 ひどくそそられる顔だ。 そう思って、諸葛亮は強い眩暈を覚える。いつものように眉間を揉んでも、治りそうにもなかった。 「さあ、分かりかねます」 じりっと、劉備へにじり寄る。 「おい、孔明?」 不安が襲うのか、諸葛亮が詰めた距離を、劉備は後退って元に戻す。そのままジリジリと二人は同じ距離を保ったまま移動を繰り返し、最後に劉備の背が窓際の壁に押し付けられて止まった。 引きつった表情になる劉備に対して、諸葛亮は策が成したときのように、ゆったりと笑う。 さっと、劉備は身を翻して、窓枠に手をかける。そうはさせまいと、諸葛亮はその背に覆い被さった。 「そのようにはしたない格好でどちらへ行かれるおつもりで?」 「うるさい! ここに居ては身の危険がある。危険を感じたときはなりふり構わず逃げるのが私の主義なのだ!」 「それは、君主としてあるまじきこと。臣下の憂いを拭い取ってはくれぬのですか?」 「憂いなど、自分で処理しろ。そんなことまで面倒見切れん」 劉備の腰に猛り始めた自身を押し付ければ、身を捩って抜け出そうとする。 抵抗を封じようと、諸葛亮は袍の隙間から素肌に手を滑らす。 胸まで手を伸ばし、指先でしこりを探り当てた。 「……ちょ、お前、本気でこれ以上は不味いだろう。孔明、聞いておるのか!」 「殿、先ほどから申し上げている通り、人払いはさせておりませんので。ましてやここは窓際です。いつ人が通りかかるかも分かりませんよ?」 「主を脅すのか、お前は!」 それでも、辺りをはばかってか劉備の声は低くなった。 続けて胸を弄り続けると、一度欲を放って敏感になっていたのか、うっすらと汗ばみ始めた。 「硬いですね、ここ」 「鳥肌だ!」 認めようとしないで、ムキになって反発してくる劉備が妙に愛らしく思えてくる。 両の指でくりくりと胸の粒を転がせば、感じ入ったようなため息が溢れた。 確実に熱を孕んできた劉備の体を腕に囲いながら、諸葛亮はどうしようもなく劉備を求めている自分を自覚していた。 言葉が力を持っている、とは我ながら良く言ったものだ。自己暗示にでも掛かったらしい。 胸だけでなく、意外に手触りの良い肌の隅々を味わうため、手を弄り続ける。 諦めたのか、何時しか劉備から制止の声が聞こえなくなり、押し殺した喘ぎが時折上がるだけになった。 腰に押し付けた猛りを、双丘の隙間を割るように撫で上げれば、劉備の咽が上下した。 首筋に唇を寄せると、鼻を 衝動のままに首筋へと吸い付く。もちろん、襟足に隠れて見えにくいところは狙っている。鬱血して赤くなったそこへ舌を這わせば、ひどく甘い味がした。 脇腹を撫でていた手を下肢へとまた伸ばせば、硬くなって存在を示している劉備に当たる。先走りを指先に塗り付けて、今度は指で双丘の隙間を割る。 「孔明、本当にやるつもりか?」 その感触に体を揺らした劉備は、俯いていた顔をこちらへ向けて尋ねてきた。 「不毛だぞ? 好き合ってもいないし、戦場での欲の処理目当てでもないのだ。何を好んでこのような真似をする」 しかも、若くもない 「私にだって、分かりません。ですけど、今は貴方が欲しいと思っているし、貴方を抱かないと収まらない。同じ男ならお分かりいただけるでしょう」 「それならば、私がお前を抱いてやる。どうして主であり、年上である私が抱かれる立場なのだ。おかしいぞ」 どうやら、そこが引っかかっているらしい。 「いえ、これはお譲りできません。主であるからこそ、私に奉仕していただくことなど恐れ多く。また、年上であるなら労わなくてはなりません。殿はこれを受け入れて愉しんでいればよいのです」 しかしそこは口が商売道具の軍師である。もっともらしい言葉で説き伏せれば、納得したようなしないような。劉備が考え込んでいる隙に、ことを先に進ませる。 探り当てた硬い 「あっ……ん、孔明、話はまだ……く、ぁ」 痛むのか、眉間の皺の溝が深くなる。耐えるためか、両瞼がきつく閉じられた。 狭いそこをやや強引に割り開いて、諸葛亮は指を突き入れた。窓枠にしがみ付いて半ば四つん這いに近い格好だった劉備の体勢は、幸いにもことを進めやすかった。 痛みを堪える劉備の体が小刻みに震えていることに胸が痛むが、だからこそ早く先へ進まなくてはならなかった。 挿し込まれている異物感や痛覚が少し薄れてきた頃を見計らい、ゆっくりと指を抜き差しする。 「……っぁ、ぁ、んっ、んっ……ふっぅく」 外へ向けられた劉備の表情は分からなくなってしまったが、その声は辛そうだった。中に収められた指を食い千切るのでは、というほどに力が籠もっている。しかしそのきつさは、先で待っている己を収めたときの悦楽を示唆されているようで、諸葛亮はまた強い眩暈を覚えた。 狭い内側を傷付けない程度に押し広げ、受け入れる状態を作り上げていく過程は、どこか策を練る過程と似ている。 乱れ、荒れる呼吸音が肌越しに伝わる。胸の下で怯えたように震えている劉備の背中に庇護欲を掻き立てられる。 無理をさせてはならない、とまだ残っているらしい理性が警告を発するのだが、その理性を凌駕しようと本能が虎視眈々と狙っている。 「あ、ぐ、ぅうっ」 突然、劉備が押し殺すことも出来なかったらしい鋭い嬌声を発したので、諸葛亮は咄嗟に指を止めた。しかしそれは余計に劉備を刺激したらしく、これ以上声が上がるのを耐えるためか、自分の袖口を咥えた。 「殿?」 試しに止めた箇所で指を腹側へ押し込めば、噛んだ袖口を引き破る勢いで劉備の奥歯が噛み締められる音がした。 「ここでしたか」 どうやら、ようやく探っていた箇所に行き当たったことを確信し、諸葛亮はふふっ、と含み笑った。 「こう、め……そこに、触るな……」 振り返って訴える劉備の目は、快楽を浮かび上がらせて煙ったように潤んでいた。 「どうしてでしょう? このように気持ちよくなられていますでしょうに」 おかしなことをおっしゃる、と指をまた強く押し込み、こすり上げた。 掠れた悲鳴混じりの声が、再び咥え込んだ袖口と唇の隙間からこぼれた。窓枠を掴んでいる指先が痛々しいほどに白くなっている。 体の下で悶えている劉備は、指を咥え込んでいる箇所だけでなく、全身も溶けていきそうなほどの熱を放っていた。無意識なのだろうか。快楽を与えている指先に押し付けるように腰が揺れた。 柔らかく解けてきた窄みに、もう一本指を加えてみる。 「ん、んんっ……うう」 ゆるっと首が振られたが、初めほどの抵抗感もなく、容易く指は飲み込まれた。 「だいぶ、具合が良さそうですね」 そのまま二本の指で中を掻き混ぜれば、全身の震えは大きくなるばかりだ。時折、悦楽をやり過ごしているのか、びくんっと背中が波打っていた。 二本の指でさらに中を解していく。柔らかな壁は指を咥え込んで蠕動し、それでいて思い出したようにきつく締め上げる。 頃合いか、と計り、指を引き抜き、自分も袍を緩める。 安堵の息を吐いた背中を、諸葛亮は軽く抱え直して、そっと小さく言葉を降らせた。 「いきますよ」 「……っ」 息を呑んだらしい劉備に構わず、充分に硬度を増した雄を、その窄みへと押し当てて、身構える前に突き入れた。 「〜〜っっんん、んーっ」 咄嗟に諸葛亮が手を伸ばして口を塞いでなければ、衛兵が駆け付けるような声が上がるところだった。 掌に感じる熱い息と戦慄く唇の感触。そして思わぬほどに柔らかい髭の感覚に、ぞくぞくと 「まだ、先が入っただけです。これからですよ」 膝立ちになり、突き入れやすい体勢を整えると、じわじわと腰を押し進めた。性急に求めそうになる本能と戦いながら、諸葛亮は劉備の熱さと狭さを存分に感じ取る。 断続的な喘ぎは、諸葛亮の掌に阻まれてほとんど聞こえなかったが、苦痛だけでないことは、ぱたっと音を立てて床に落ちた劉備の欲が表していた。 劉備の中に全てを収め切ると、ぶるっとその体は震えた。それから諸葛亮の口を押さえている手を外したいのか、力の入らない指で引き剥がしにかかった。 それには逆らわないで、大人しく手を離した。 「……無茶を、するな。労わ、るのではなかっ、たのか」 どうやらまだ文句を言う余力があったらしい。 とことん、元気の有り余っている人ですね。 思わずいつもの毒舌を取り戻し、心の中で呟く。 こんなオヤジに欲情している自分の気が知れません。 しかし、色を含んだ耳や首筋は艶を放っているし、すっかり悦に酔わされたらしい瞳は濡れていて、欲情を宿したような赤い唇からは、同じように赤い舌が覗けて。 ……そうでもないかもしれない。 そう思ってしまう諸葛亮だった。 劉備を抱きかかえるようにして、諸葛亮は床に座り込む。 「おいっ……んあぁ」 諸葛亮のものを含んだまま座らされたのだ。劉備は短い悲鳴を上げて、背後の諸葛亮へ非難の眼差しを向けた。 しかしそれも腰を突き上げられるまでで、再び劉備は袖口を噛むことになる。 自重も相まって、深い場所まで諸葛亮の硬さを得ているようで、劉備の上を向いた先からはタラタラと雫が溢れていた。それに蓋をするように、諸葛亮は指先で先端を捏ねた。 「ひっ……く、ぅん」 咽を晒して、劉備は後頭部を諸葛亮の肩口へこすらせる。ほつれた髪が額に影を作り、それが窓から差し込む光で揺れる。 思わぬほどの色香が劉備から漂い、諸葛亮は無我夢中で劉備を追い上げようとした。 そのときだ。 「おーい、玄徳〜、いるか〜」 窓の外から簡雍の声がした。 諸葛亮は一瞬にして動きを止めて、即座に次の行動へ移った。すなわち、窓辺から離れ、簡雍の視界から消えたのだ。 「あれ? 玄徳〜? いないのか?」 徐々に近付いてくる足音と、のん気な口ぶりに、どうしてこの男は窓から訪れようとするのだ、と諸葛亮は腹を立てる。 恐らく、このまま劉備が顔を出さなければ簡雍は呼び続けるはずだ。簡雍はこの時間に劉備が居ることを知っているからだ。 快楽に浸っていた頭を瞬時に切り替える。 部屋の外にいる衛兵も劉備の返事がないことに不審がる。だとすれば。幸い、袍は取り去っていないのだから。 「殿、簡雍殿を」 こちらはすぐには快楽からは戻れなかったらしく、ぼんやりと諸葛亮の言葉を聞いていたが、窓際に押しやられて我に返ったらしい。 「あ、ああ、憲和か。何の用だ」 痰が絡まったような声を出したが、咄嗟に答えられたのはさすが、というべきか。何せ、諸葛亮とは繋がったままなのだ。うっかりすれば自分で善いところを突きかねない。 「お、やっぱり居たか。返事がないからまた昼寝でもしてんのかと思ったぜ」 ほぉ、と諸葛亮は思わず劉備にしか聞こえない小さな声で感嘆を漏らした。もちろん、皮肉の意味でだ。気まずそうに劉備の背中が強張る。 「また、とは人聞きの悪いことを言うな。それではしょっちゅう私が昼寝をしているように聞こえるだろうが」 「何だよ、急に。別に改めて怒ることじゃねえだろう。おかしな奴だな」 カラカラ笑う簡雍に、劉備が強張った背中のまま、何かを言いたそうに口を開きかけるが、話を長引かせても不味い、と判断したのだろう。簡雍が話し出すのを待つことにしたようだ。簡雍もすぐに本来の用を思い出したらしい。 「ああ、そうそう。それで昨日の売り上げのことなんだけどよ」 そう言って、簡雍は窓枠に足を掛けて部屋に入ろうとしたので、劉備は慌てて止めた。 「そのことなのだがな、今回は構わん。あれから孔明にこってり絞られてな。今回の売り上げは全部お前にやることにした」 「へっ? そうなの? マジで? 本当に良いのかよ」 簡雍の声が弾む。 「いや、実はさ〜、あれからちょ〜っとばかし酒家で使い過ぎちゃって、どうしようかな〜とか思ってたからさ。悪いな、玄徳」 ほほぉ、と今度は劉備が嘆息を漏らした。こちらは明らかな怒りのようだった。 「友人を置いて逃げた挙句に、大事な売上金を使い込みとは、随分と友だち甲斐のない奴だな、憲和」 「お、何だよ。今日はえらく虫の居所が悪いじゃねえか。その様子だと、相当に軍師様に絞られたようだな。孔明の奴、底意地悪そうだもんな。ネチネチしつこく説教されたんだろうな」 さもありなん、さもありなん、と頷いているようだ。 誰の底意地が悪い、と? 簡雍殿、貴方は後で特別に説諭して差し上げますからね。 諸葛亮の含み笑いを気配で感じ取ったのだろう。劉備は少し強張った横顔を見せ、 「分かったならとっとと去れ」 何せ、絞られている有様が、今まさに続いているのだから、と言わんばかりに、しっしっと犬を追い払うように簡雍を促した。 「へいへい。じゃあ、またな」 来たときと同じようなのん気さで、簡雍は去っていった。 安堵した劉備から力が抜けたのを見計らって、諸葛亮はぐいっと劉備の腰を引いた。 「ぁん……」 鋭い声が劉備から抜けた。 「忘れていましたね。大事な政務を放ってまで作り、売り捌いていた筵の売上金、どういう使い道だったのでしょうね?」 「今この状況で聞くことか!」 もがく劉備を容易く捉え、諸葛亮は腰を揺らした。 「……っ」 「おっしゃらないのでしたら、このままですよ?」 じとっと、劉備の視線が恨みがましそうになる。 「この体勢では話しづらいだろう。それはまたの機会にしろ」 「では、向き合えばよろしいのでしょう?」 にっこりと微笑みかけ、劉備を押し倒しながら器用にその体を半回転させた。 しかし劉備のほうは堪ったものではないだろう。硬い雄に貫かれたまま内膜を掻き乱されたのだ。一瞬ばかり意識が飛んだようで、目が虚ろになる。 「殿」 諸葛亮の呼び声に焦点が結ばれると、ああ、まったく、といわんばかりに両手で顔を覆った。 「民と交わることに意味があったとしても、売上金の行方は非常に気になるところですね」 ゆるゆると頭を振る劉備は、そっと手の下から目を覗かせた。 「もう良いではないか。己の汗水流して作り出した金だ。何に使おうと勝手だろう」 「ええ、それはもちろん。為さるべきことを為さっているのでしたら、私は一向に構わないのですけど。このままではお辛いでしょう。ここもまだ萎えてはおりませんし」 指を劉備の下肢へ這わす。 「っん、孔明……」 艶を帯びた声音で字が呼ばれる。 「無粋な奴だ。政務は政務、説諭は説諭、房事は房事と分けられんのか。今は、目の前に集中しろ」 「誤魔化すおつもり……」 言葉は、劉備の腕が首に伸ばされて、引き寄せられたことで途切れる。 「――っ?」 唇が劉備の唇と重なった。 小さく目を見開き、劉備からの行為を受け止める。 このおかしな交わりが始まったいつ頃からか、口付けたい、と思っていた。だが、口付けることは想い人とするものだ。それならば劉備とするのは間違っている、と思い我慢していたのに、突然それが叶ったことを、嬉しく思うよりも怯んだ。 「と……んっ」 殿、と続く言葉は容易く吸われ、次第に諸葛亮はその柔らかさに酔っていく。差し込まれた舌に舌を絡ませ、唾液を貪る。 唇を寄せるために体を屈めたせいで、劉備の猛りが腹に触れる。その熱さに咽が鳴り、知らずに 「ふ、ぅ、ん、ん」 鼻から抜けていく声が、甘く諸葛亮の耳孔を溶かす。 策士としての自分が、これは劉備の誤魔化すための罠だ、と断定するが、今は耳を貸すのはやめた。 充分に口腔の柔らかさを味わい、諸葛亮は身を半ば起こす。 このままで辛かったのは諸葛亮も同じだ。 熱く滾っている雄は、劉備の息づく奥深い場所を知って貪りたいと喘いでいる。正面から見据えたことで、痴態を目の当たりにして、抑えが利かない。 乱れて胸元の大きく開いた袍に、やはり鍛えているせいか、脾肉など感じさせない脚は惜しげもなく肌を晒し、身体の中心では諸葛亮の手の中で蜜をこぼしている証がある。その下に、自分の雄を咥え込んでいる窄みが見え隠れしていた。 「孔明……」 潤んだ呼び声、そのたった一言で、劉備は諸葛亮を縛る。 幾重に論じた言葉より、たったの一言、心から呼ばれる自分の呼び名に、いつの間にか見っともないほどに捕らえられている。 狭く熱い壁にゆるり、と先端をこすり上げれば、もう後は夢中だった。 入り口際まで引けば、吸い付くように柔壁を狭めて縋り付き、戻ろうとすれば身悶えながら迎え入れる深さに、不思議な安心感と強い征服感を覚える。 諸葛亮の注挿に、劉備は嬌声を押し殺すのに必死の様子だ。また袖口を咥えるものの、袖は皺が寄り、千切れそうな無残な状態だ。 張り出した先で劉備の腹側をこすっては突き、返してはこすれば、背を反らして悶える。咥えていない腕は半ば顔を覆うように折られ、その先の手は力が入るのか、 硬い切っ先で細かくしこりを突き続ければ、諸葛亮の手の中へ雫が落ちては濡らしていった。 交差する形で重なっている腕が、悦楽を逃がすためか交わっている腕に爪を立てている。その両腕の隙間から僅かに覗ける劉備の片目に、じわりと涙が滲んだのが目に付いた。 注挿を緩め、そっと腕を外して背中へ回させた。 しかし劉備は首を横に振りながら、また腕を口元へ戻そうとする 「お声が心配なら、私が塞ぎましょう」 今度は諸葛亮から唇を重ねた。びくっと劉備の体が震えて、自分から口付けたくせに今さらだ、と諸葛亮の頭に余分なことがよぎる。 それも、しっかりと劉備の腕が背中へ回されるまでだ。 塞ぐだけでは飽き足らず、舌を絡ませて吐息すらも一つにする。緩めていた注挿を再開させれば、背中に回された腕に力が籠もった。 腹の間で劉備の下肢を扱けば、粘着質の音が引っ切り無しに耳を打つ。 「ふぅ、ぅっ、ふ、ぅんんっ」 じわりと滲んでいた涙は、揺すられたことによりその眦からこぼれ落ち、頬に添えていた諸葛亮の指を濡らす。 より深く劉備を貪るために、片膝の裏を掴んで折り広げた。 「ふ、くぅ……っ」 くぐもってはいたがその切なげな声音に、善いところを突いたことを察し、集中的に責めれば、諸葛亮の掌で一段と劉備の下肢は質量を増した。 互いに限界は近く、諸葛亮は劉備と自分を追い上げる。 再び涙が劉備からこぼれたとき、同時に掌にも熱い飛沫が放たれ、それに合わせるように諸葛亮も劉備へ精を放っていた。 「ふ、っふ、ぅんっんっ……」 頂への幾度かの震えの後、諸葛亮の熱さを受け止めた劉備は、するり、と背中から腕を滑り落とした。 |
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