「はっぴーばーすでー 2」
  夏侯惇×曹操


 じんじんと胸の先が痺れていた。優しく指で摘まれて、弾かれて、転がされた。感じやすい曹操の身体の中でも、特に突起は夏侯惇と身体を重ねるようになってから、自分でもおかしなほどに性感帯の強まったところだった。
 こうして真っ先に夏侯惇がいじってくる、ということもあるだろうが、痛いぐらいに神経が張り出している気さえした。
 尖った先をきゅっと甘く噛まれて、曹操は鼻にかかった濡れた息をこぼす。反対側を爪の先で潰されて、ぁん、と声を上げた。
 空いている手がわき腹や首筋を撫で、髪を梳いていたが、そっと曹操の手に指を絡げてきた。
 ごつごつとした男臭い手だと、いつも曹操は思っていた。自分の手も剣や筆を良く使っていて肉刺(まめ)だらけだし、女の手とは明らかに趣が違えども、夏侯惇の手と比べるとあっさりと包まれるほど小さく弱いものに思える。
 指と指が絡み合うと、夏侯惇の掌が熱いくらいに熱を持っているのが伝わってきた。曹操を求めるあまりだろうか。
 じんっ……と先ほどから胸を苛む快感とは別に、満ち足りたような、痛みにも似た暖かさが胸を包んだ。
 男と、ましてや小さい頃から知っている従弟と身体を重ねることに、自由な発想で乱世を平らげている曹操と言えども抵抗はあった。しかし、こうして夏侯惇と肌を合わせていると、抵抗も背徳も雨に流される汚れのように、どうでも良いことのように思えてくる。
「ん、は……ぁ」
 口腔でなぶられている突起が、曹操の声を濡らしていく。もう、そこばかり弄るな、と夏侯惇の髪を軽く引くが、愛撫が止まる様子はない。
 好きにしろ、とは言ったし、連れて行け、と言った夏侯惇の望みを無下にした手前、曹操は大人しく夏侯惇の好きにさせておくしかなかった。
 本当は嬉しかった。
 誰にも言わずに出て行き、たった一人でふらり、と旅をしたかった。自分にやれることは残り少なく、心はまだ見ぬ異国へと飛びかけている。しかしその傍らに、例えば息も止まるような景色を目にしたとき、例えば頬が落ちそうになる珍味を口にしたとき、それらを分かち合う誰かが居ないのは、少し寂しい、と思っていた。
 旅に出る前からホームシックか、と一人で笑ったものだったが、元々人恋しい性質の曹操は、自由気ままな一人旅に憧れはあるものの、どちらかといえば気の置けない仲間とワイワイと賑やかに旅をするほうが性に合っている。
 もちろん、それでは意味が無い。息子の曹丕は優秀で、夏侯惇も言ったとおり支える人間は居る。だからといって曹操の旅に誰も彼も連れて行けるはずがない。
 もしも、もしも一人だけ連れて行けるのだとしたら……真っ先に思い浮かんだ顔が、目の前の男だった。同じ気持ちであったことに涙が出そうなほど嬉しかったが、同時にこれ以上夏侯惇を束縛は出来ない、と考えた。
 今まで、充分過ぎるほど夏侯惇には尽くしてもらった。乱世を鎮める長い旅に真っ先に駆けつけて、曹操の隣でずっと支えてもらった。無茶な命令も、馬鹿馬鹿しい我が儘も文句を付けつつも従ってくれた。
 何より傍らでずっと笑っていてくれた。
『お前のためだ』
 と口にする夏侯惇の照れ臭さを押し隠した横顔を思い出す。孟徳のため、孟徳だから、と夏侯惇の言葉は曹操への想いに溢れていた。
 だがそれで良いのだろうか。
 人は自由で、自分のために生きるべきではないのだろうか。誰かのためも良いだろう。しかし夏侯惇はあまりにも曹操のためだけに己の一生を傾けすぎてはいないだろうか。
 もういい加減、わしから解放すべきではないのか。
 迷いが曹操に生まれ、一緒についてきて欲しい。たったそれだけの願いが口に出来ずにいて、夏侯惇から言い出したときでさえ、拒んでしまった。
 誕生日の祝い、などと口実で、曹操から夏侯惇に出来る最後の贈り物であり、感謝の表れだった。
 だが、これは幾らなんでも生殺しに近い。
「げんじょ……っもう」
 胸や肌の弱い箇所は散々に愛撫してくれるが、肝心な箇所へは一向に触れてくれない。もどかしくなり、夏侯惇の腿へと局所を擦り付ける。
「はしたないな、孟徳。どうして欲しい。お前から誘ってくれ」
 低い夏侯惇の声にぞくり、と背筋を粟立てたものの、かっと顔が熱くなる。硬直してしまう曹操に、夏侯惇は言う。
「出来んのか? 俺を祝ってくれるのだろう?」
 こくり、と唾を嚥下して、曹操は小さく頷いた。目を瞑り、まだ脱がされていなかった下穿きの紐に手を掛けた。穿いていた物を脱ぐだけの簡単な行為がひどく難しかった。夏侯惇の体の下で上袍だけ肩に引っ掛けただけの、全裸に近い格好になった。
 目を開き、夏侯惇の視線から逃れるように顔を背けつつも、あの無骨な手を探り当てて己の下肢へと導いた。
「触ってくれ」
「触るだけでいいのか」
「……こすって、強く扱いて……くれ」
 掠れそうになる声で辛うじて訴える。人より情が強い曹操にとって、夏侯惇の情に対するやや淡白なところは物足りなくて、大体において曹操から誘うことは多かったものの、こうまであからさまに口にしたことはなかった。
 曹操が、元譲……と甘く呼べば、それだけで夏侯惇は察してくれて、ひたすら曹操を気持ち良くさせてくれた。こんな曹操の羞恥を煽るようなことをさせることも、焦らすようなこともしたことはなかった。
 それだけに、曹操の羞恥は身体の熱を昂ぶらせ、全身は今までにないほどに敏感になっていた。
 夏侯惇の手が下肢を包んだだけで甘い声が溢れ、掌が淫らに動けば、身悶えるほどの快感が身を包んだ。ああ、嫌だ……っと過ぎる悦楽に声を上げ、夏侯惇の衿を強く掴んだ。
「嘘をつく孟徳は嫌いだ」
 意地悪い声が言う。曹操は首を左右に振りながら答えた。
「気持ち良い……元譲っ……もっと」
 促されて言わされた自分の言葉にさえ、ぞくぞくっと悦が駆け抜けていく。ぐちり、と夏侯惇の掌の中から水音が聞こえた。
「ぁ……ん、はぁ……んん」
 喘ぐ曹操の唇を夏侯惇の唇が塞ぐ。息苦しい中でも舌を伸ばして応えるが、酸欠不足になりかける。しかし夏侯惇の唇はさらに深く重なり、離れる様子もない。苦しい……っと衿を引いて訴えるが、下肢を扱く手も唇を塞ぐ口も緩みそうにない。
 じわり、と目の端に涙が滲み、こめかみを伝って流れ落ちていった。
 唐突に唇が離され、大きく曹操は息を吸い込んだ。こめかみがガンガンと痛みながらも新鮮な空気に気が緩んだ。そこへ下肢を勢い良く扱かれて仰け反った。
「ああっ……? ん、やぁ……っ」
 気が付けば、夏侯惇の掌に欲を放っていた。吐精の余韻で身体が痙攣し、腰に甘い絶頂感が漂った。弾む息はなかなか整わず、また幾筋か涙がこめかみを伝っていったのを、腕で拭った。
「俺も気持ち良くしてくれるか?」
 ようやく落ち着いてきたところで、夏侯惇が思わぬことを言い出してきて、曹操は目を瞬く。唇を指でなぞられて、ここで、と言われて意味を察した。
 珍しい、と思いつつも頷いた。起き上がった夏侯惇は下穿きを下げて、張り詰めている欲を曹操の前に晒した。曹操の姿に煽られたのだろうか。すでに大きさは曹操の中に潜り込むときと大差ない。
 半身を起こした夏侯惇の前に蹲りそっと手を添えれば、熱く硬い感触が返り、まだほぐされてもない曹操の奥がずきり、と疼いた。軽く先端を啄ばんだあと、舌を伸ばして夏侯惇の欲を舐め始めた。
 普段はあまり口淫をしない曹操の舌戯はお世辞にも巧いとは言えない。何せやろうとしても夏侯惇が断るため、滅多に機会がないからだ。夏侯惇に言わせれば、お前が気持ち良くなっている姿だけで充分、ということらしい。
「……ぅん、ふっ……ん、ん」
 夏侯惇の味に酔うように、ぎこちなかった曹操の口淫は大胆になっていく。思い切り頬張り、吸い付きながら頭を振れば、夏侯惇の低く唸る声が聞こえた。腰に響くようなその声に、曹操は恍惚状態になる。
「腰がイヤらしそうに揺れているぞ」
 指摘されて、欲を放ってうな垂れていた下肢が再び熱を集め始めていることに気付いた。お前も気持ち良くなれ、と夏侯惇は仰向けになり、自分の顔を跨がせた。
 さわさわっと内腿を撫でられた。
「ここ、肉が付いたな」
「ほっとけ!」
 思わず言い返した。仕方が無い。ずっと病のふりをしていて、気分転換の遠乗りすら出来なかったのだ。馬に乗らない腿にはあっさりと肉が付いた。
 ちうっとその腿へ夏侯惇は吸い付いた。
「触り心地と吸い心地は増したぞ」
「――っ」
 返す言葉を失って、曹操は起き上がって頭でも殴ってやろうかと思ったが、目の前の夏侯惇の欲をなぶることで意趣返しにしようとした。
「ふぅっ……うぅ、んっ」
 しかし下肢が咥え込まれて、曹操は夏侯惇の欲を頬張ったまま呻いた。快感に正直な曹操の身体は夏侯惇への愛撫が休みがちになってしまう。
「あ、元譲……そこ……っぅん」
 夏侯惇の指が曹操の先走りを掬い上げて後孔をほぐし始めれば、夏侯惇への口淫どころではない。つぷり、と潜り込んだ指に悦を突かれて、びくん、と身体を跳ねさせた。何とか手で夏侯惇への愛撫を続けるが、もう意識は後孔への指に集中している。
「駄目、だ……ぁあ、いや……だ、ひっ」
 夏侯惇の指を拒むことを知らない後孔は、ひくひくと喘ぎながら奥へ奥へと指を導く。孟徳、と言われて思い出す。
「いい、凄く……っあぁ、もっと突い……てくれ……んぁ」
 気持ちが良い、と言葉を紡ぎ、指が増えて声は甘く蕩けていく。あ、あ……と漏れる声は濡れそぼって高くなる。後ろと同時に前を強く吸われて、びくり、と腰が震えた。
「やっ……も、イく……っ」
 あっという間に二回目の吐精が競り上がってきて、曹操は悲鳴混じりに言う。途端、ぎゅっと下肢の根元を締め上げられて、苦痛に身悶えた。
「げん、じょ?」
「今度は、一緒にイこう」
 解放を堰き止められたのは辛かったが、夏侯惇の言葉に嬉しくなる。頷いた曹操の下から抜け出した夏侯惇は、腰を掴んで怒張し切った欲を後孔へ宛がった。
 力を抜いた曹操に合わせるように、夏侯惇の腰が進められて、狭い曹操の中をこじ開けるように突き入れられた。最奥まで夏侯惇の熱い欲が埋められて、曹操は身震いした。ゆっくりと内側をこする熱に甘い吐息が口から溢れる。
 押し戻ってくる熱の切っ先が腹側の悦をこすって、夏侯惇の指で堰き止められているにも関わらず、先端からは雫がこぼれて寝具を汚した。
「孟徳」
 耳の傍で夏侯惇が呼んだ。快感で煙る頭で曹操は呼び返した。甘い睦言でも囁いてくれるのだろうか、と期待した曹操だったが、一気に現実に引き戻された。
「俺にとって、お前が居ない世の中は考えられない。連れて行ってくれないか」
「……っその話は終わった……ひっ」
 曹操の言葉を遮るように、夏侯惇の欲が抉ってきた。
「連れて行く、とお前が言ってくれないなら、イかせない」
「何を馬鹿なこと……や、あ、あっ」
 激しく突き込まれて悲鳴混じりの喘ぎを上げた。腹側を強くこすり上げられて、悦を突かれると、タラタラと下肢から雫が溢れていった。
「やめ……やだっ、げんじょ……ぁはげし……」
 いきなり絶頂へ押し上げる動きで曹操を追い立てる夏侯惇に、曹操は揺さぶられるままに啼いた。曹操の中で夏侯惇の欲が膨れ、弾けた。鋭敏な奥へと吹き付けられた熱い欲に、曹操の全身はビクビクと痙攣した。
 それでも指に阻まれた曹操は達することはできず、ドロドロと渦巻く欲に涙が滲んだ。しかも一回達した夏侯惇の欲は硬さを失わず、再び曹操の奥を責めてきた。
 吐き出された欲で滑りの良くなった曹操の中を、夏侯惇の兇器が蹂躙していく。ぐちゅぐちゅとかき回される音が曹操の神経を蝕んでいく。
「ぁ、あ、はぁ……げん、じょ……ぉ……いや、ぁ」
 下腹で疼く熱が脳髄まで犯していく。おかしくなりそうだ、と曹操は涙をこぼすが、夏侯惇の責めは緩まない。
「孟徳、俺も一緒に……」
 首を左右に振る。
「駄目、だ……ぅあ、あ」
 イきたい、という本能と、夏侯惇は連れて行けない、と訴える理性が鬩ぎあっている。がくん、と肘が折れて顔が寝具の中へ埋まる。拍子に夏侯惇の欲を締め付けたところを強く突かれて、目の前が白く弾けた。
 あ、あ……と声を漏らして身体が震えた。欲は弾けなかったものの、一種の絶頂が曹操を襲い、理性を大きく食らっていった。
「イきたい、元譲っ……イかせて……っ」
 掻き毟るように下肢を戒めている夏侯惇の指を引っ掻く。だが夏侯惇の指は離れず、それどころか後孔を埋めていた欲すら抜けていく。
 落胆の声を漏らす曹操はボロボロと涙をこぼした。後孔を満たしていた熱さも失い、下肢を苛むのは痛みが伴う澱んだ快感だけだ。元譲、元譲、と狂ったように呼ぶ曹操の声は激しい雨足にかき消されて、夏侯惇へ届かないかのようだ。
「これが欲しいか」
 喪失感にヒクついている後孔へ、夏侯惇の怒張が押し当てられる。急いで頷く曹操だが、夏侯惇の腰は進まない。
「なら俺の願いも聞いてくれ」
「でき、ない」
「孟徳!」
 悲痛な声が快感を求めて溺れている曹操の頭に響く。
「もう、わしにお前を縛り付けたく、ない……分かってくれ」
 元譲、と喘ぎ過ぎて嗄れてきた声で訴えた。
「……っ馬鹿、やろう。そんなこと考えてたのか」
 仰向けにさせられた。涙で歪む視界に、泣き笑いのような夏侯惇の顔が映っていた。再び、夏侯惇の欲が曹操を満たし、曹操は甘やかな声を上げた。
「お前は変なところで気を遣いやがって」
 下肢を戒めている指が外れて、そっと上下にと指が動き始めれば、あれほど苦しかった悦楽が耐え難い幸福感に摩り替わっていく。
「俺は確かにお前なしじゃ生きていけない。それを縛り付けているって言うなら言うがいいさ。だがな、それを選んだのは他でもない、俺だ」
 だからお前はそんなこと気にするな。
「お前と共に生きる、と決めたのは俺で、それが俺の生き方だ。分かったか」
 口付けが降ってきた。
 なんだ、そうか……。
 もう夏侯惇は一人で決めて一人で歩いていたのだ。ただそれが曹操とあまりにも近すぎて気付かなかっただけだった。
 ただそれだけだった。
「分かった……」
「じゃあ、俺の願いは聞いてくれるか」
「駄目だ」
「孟徳っ」
「元譲へのプレゼントはこのわしだ。だからこれはわしからの願いだ」
 一緒に旅に出てくれないか。
「……ああ」
 夏侯惇は笑い、曹操も笑った。
 ただそれだけで、幸せだった。



 曹丕への謀反を打診した途端、珍しくも分かりやすい悪態を吐いて出て行った司馬懿を見送り、夏侯惇は腹立たしそうに舌打ちをした。
「司馬懿の奴」
「構わん。あれで司馬懿も子桓のことを大事に想っている。きっとわしの策が気に入らなかったのだ」
「まあ、それには俺も同感だが」
「お主まで言うか」
 夏侯惇との情事で掠れた声を、司馬懿に告げるときだけは何とか威厳を保てたが、今はすっかり元に戻っている。ようやく全てを吹っ切れた曹操は、焦らされた、というのもあって夏侯惇を離しがたく、夏侯惇からそろそろやめておけ、と言われるまで求め続けた。
 寝所はすっかり使い物にならず、曹丕と司馬懿が報告に来る時刻になり、慌てて場所を簡易ベッドの置かれた執務室へ移動していた。
「子桓は聡いぞ。司馬懿に裏切るような真似をさせなくとも、大事なことには気付くはずだ」
「それでも、心配なのだ。だから親馬鹿だと言っただろう」
「そうだったな。お前ら親子ほど、見ていて歯がゆいものはない」
 曹丕に「好きにせよ」と告げた。関羽も死に、次代への道は開かれた。あとは曹丕ならば巧くやれる。唯一の心残りは曹操が居なくなることによって、不安定になるであろう曹丕の心だったが、司馬懿に託した策で支える者が大勢いることを本人が気付くだけだ。
 司馬懿が謀反を起こし、曹丕が鎮圧する。その過程で色々見えてくるだろう。
「親馬鹿ついでに、頼んでも良いか」
「分かってる。子桓の救援だろう」
「さすが元譲だな」
「俺も相当、叔父馬鹿なつもりだ」
 真面目に告げた夏侯惇に、曹操は吹き出した。途端に痛んだ腰に低く呻いた。
「すまん、やり過ぎた」
「まったくだ。わしの歳を考えろ」
「何を言っている。お前から誘ってきたんだろう。おかげで最高の誕生日祝いだったが」
 にやり、と笑ってからかう夏侯惇へ、曹操は沈黙を守って受け流す。
 で、いつ出立する? 楽しそうに聞き返す夏侯惇へ、曹操も窓の外を眺めて笑顔になる。生憎の荒れ模様だが、曹操の目にはまだ見ぬ国々の美しい景色が映り始めていた。
「雨がやんだら、すぐにでも。子桓の様子を見たいから、初めはこの近くから始めるつもりだ」
「了解だ」
「お主とならどこまでも旅をしていけそうだ」
「当たり前だ。何せこの乱世をここまで鎮めた俺たちだぞ」
「確かに」
 そうだ、と曹操は呟いて、夏侯惇を近くに、と招いた。
「……?」
 不思議そうな顔で耳を寄せてきた夏侯惇へ、曹操は雨足を伴奏に唄ってやった。

 はっぴーばーすでー 元譲。

 これからもよろしくな。



 おしまい





 あとがき

 ここまでありがとうございました!
 同人誌からの再録……以前に、この話は司馬懿×曹丕本裏話、という特異なものになっています。
 要するに、無双5の司馬懿伝と曹丕伝、裏で動いていたのは、実は曹操だった、という妄想に基づいて作った小話です。
 裏切りを命じられた司馬懿と、曹丕がどうしたか、は【陰、伸びて】のお話になっています。

 そんな裏設定はひとまず置いておき、さらに裏話ですと、ただただいちゃいちゃしている惇操が書きたかった、というのが本音の代物です(笑)。
 楽しんでいただけたら、幸いです。

 09年10月4日 発行
 10年 3月2日 再録
(ネタ本なので、通常より早めに再録しました)




目次 戻る